レメンゲサウ大統領が来日:パラオの取り組みと国際連携 11日
「パラオの海洋保全と持続可能な利用に向けた国際シンポジウム」に11日参加
11月11日(月)に開催された「パラオの海洋保全と持続可能な利用に向けた国際シンポジウム」に参加しました。このシンポジウムは、日・パラオ国交樹立25周年を記念して、トミー・レメンゲサウ Jr.・パラオ共和国大統領が来日されたことを契機に開催されました。この記事では、シンポジウムの内容と感想についてお伝えします。
シンポジウムは、午後2時から4時半までの2時間半のプログラムでした。
パラオ
パラオは、太平洋の島国でありながら、国際社会に積極的に貢献している国です。パラオは、気候変動や海洋資源の保全など、地球規模の課題に対してリーダーシップを発揮しており、日本とも協力関係を深めています。この記事では、パラオの国際協力の取り組みと日本の支援について紹介します。
パラオは、1994年に独立したばかりの若い国ですが、その歴史は古く、約3000年前から人々が暮らしてきました。パラオは、第二次世界大戦中に日本の委任統治領となり、多くの日本人が移住しました。戦後はアメリカの信託統治領となりましたが、日本とのつながりは強く残りました。現在でも、パラオでは日本語が公用語の一つとして認められており、日本文化や日本食が広く受け入れられています。
自然・海洋生態系
パラオは、自然豊かな島国であり、世界でも有数のサンゴ礁や生物多様性を有しています。パラオは、その自然資源を観光産業に活用するとともに、環境保全にも力を入れています。パラオは、2009年に世界初のサメ保護区を設立しました。また、2015年には国土面積の80%以上にあたる海域を保護区に指定しました。これらの取り組みは、海洋生態系の保全だけでなく、気候変動への対策にも貢献しています。
パラオの核兵器廃絶や持続可能な開発目標の取り組み
パラオは、自らが直面する課題だけでなく、地域や世界の課題にも積極的に関与しています。パラオは、太平洋諸島フォーラム(PIF)やアジア太平洋経済協力(APEC)などの地域組織に加盟し、太平洋地域の発展や安全保障に貢献しています。また、国連や国連安全保障理事会などの国際機関でも活発な発言を行い、人権や民主主義などの普遍的な価値を支持しています。パラオは、特に核兵器廃絶や持続可能な開発目標(SDGs)などの平和と開発に関する議題でリーダーシップを発揮しています。
日本とパラオの関係
日本は、パラオと友好的で協力的な関係を築いてきました。日本は、パラオの独立以来、政府開発援助(ODA)や技術協力などを通じてパラオの経済社会開発を支援してきました。日本は、パラオのインフラ整備や人材育成などに重点的に取り組んでおり、例えばパラオ国際空港や島間連絡道路などの交通インフラや上水道施設などの公共サービスインフラを整備しました。また、パラオ国際サンゴ礁センターやサンゴ礁モニタリング能力向上プロジェクトなどを通じて、パラオの環境保全にも協力してきました。
日本・パラオ環境協力イニシアティブ・日本・パラオ戦略的パートナーシップ
日本とパラオは、環境や気候変動などの地球規模の課題にも共通の立場を持っています。日本とパラオは、2018年に「日本・パラオ環境協力イニシアティブ」を発表し、太平洋地域における環境保全や気候変動対策の強化に向けた協力を表明しました。また、2019年には「日本・パラオ戦略的パートナーシップ」を発表し、経済や安全保障などの分野での協力を深化させることで合意しました。
パラオは、太平洋の島国でありながら、国際社会に積極的に貢献している国です。日本は、パラオと友好的で協力的な関係を維持し、共通の課題や利益に基づいて連携を強化していきます。パラオと日本は、太平洋地域や世界の平和と開発に貢献するパートナーです。
パラオ第9代大統領レメンゲサウ氏
レメンゲサウ大統領が基調講演を行いました。
レメンゲサウ大統領は、パラオが自然豊かな島国であるとともに、気候変動や海洋資源の保全などの地球規模の課題に対してリーダーシップを発揮していることを紹介しました。
レメンゲサウ大統領は、パラオが2009年に世界初のサメ保護区を設立したことや、2015年に国土面積の80%以上にあたる海域を保護区に指定したことなど、パラオの先進的な取り組みを誇りを持って語りました。また、レメンゲサウ大統領は、2020年8月にパラオで開催される第7回「私たちの海洋会議」についても触れ、世界中の海洋関係者が集まって海洋の未来を議論することを期待したと述べました。
次に、ファウスティナ・ルウール・マルグ国務大臣が講演を行いました。マルグ国務大臣は、パラオが共同議長を務める「持続可能な海洋経済のためのハイレベルパネル」について紹介しました。このパネルは、安倍晋三・内閣総理大臣やノルウェーのエルナ・ソルベルグ首相など14カ国の首脳が参加しており、海洋経済と海洋保全の両立を目指しています。マルグ国務大臣は、このパネルが2020年6月に最終報告書を発表する予定であることや、その内容が第7回「私たちの海洋会議」で議論されることを明らかにしました。
最後に、フランシス・マツタロウ駐日大使が司会を務めるパネル討論が行われました。パネリストとしては、レメンゲサウ大統領とマルグ国務大臣のほかに、日本からは外務省や環境省などの関係者や専門家が参加しました。パネル討論では、パラオと日本が共通する海洋問題や協力分野について活発な意見交換が行われました。特に、気候変動への対策やサンゴ礁の保全などに関しては、両国間の連携を強化する必要性が強調されました。また、観光産業や漁業などの海洋経済の発展についても、持続可能な方法を探ることが重要であるとの意見が多く出されました。
シンポジウムに参加して、パラオの海洋保全と持続可能な利用に向けた国際的な取り組みに感銘を受けました。パラオは、自らが直面する課題だけでなく、地域や世界の課題にも積極的に関与していることが分かりました。また、パラオと日本が友好的で協力的な関係を築いていることも嬉しく思いました。パラオと日本は、太平洋地域や世界の平和と開発に貢献するパートナーであると感じました。
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