長野県小布施町視察2006リポート 市村良三町長と
小布施町長野県 視察リポート~一新塾勉強会有志と
小布施町 視察参加者:近藤裕己(第9期:納税者の権利プロジェクト代表),山下智也(小牧市議会議員),宮田久司(第12期),田中好(第18期),榊原平(第18期) 以上5名
長野県小布施町
小牧ICからクルマで出発して中央道、長野道、上信越道を通って小布施町に。長野県内は知事選真っ只中。盆地のため気温は高いが不快な湿度はない。 クルマを小布施町役場に駐車して、町長との面会時刻までの2時間を徒歩で町内を散策。小布施駅(長野電鉄)、商工会議所、高井鴻山(こうざん)記念館、北斎館、おぶせミュージアムを巡る。そして町役場に戻って市村良三氏(小布施町長)と1時間半の面談。その後、ア・ラ・小布施で関悦子氏(取締役事業部長)にお話を伺う。NPO法人しなのぐらしに宿泊し小渕登美子氏(同代表)と牧野富士男氏(小布施国際交流クラブ)にお話を伺う。
●「観光地」ではなく美(び)日常なまちづくり
小布施は町民にとって「観光地」でない。訪れる人は「観光客」ではなく「来訪者」。町民は観光を「目的」にしてしまうのではなく、生活者(町民)の視点で考え、訪れた人をもてなし、町民自身も気持ちよく生活し、生活者が自主的に「美(び)日常」な生活文化を創造することを目指す。先日、財政破綻した夕張市では、本来は生活者のための手段であるはずの観光が目的となってしまい過剰なハコモノ投資がされたのとは対照的に感じられた。
●小布施町 の活性化の要因と経緯
- 過疎化に対する危機感から宅地造成分譲を行う。約2000人の転入により町には多額の現金が入る。(昭和40年代)
- 「北斎館」建設(昭和51年)。宅地造成分譲で入ってきた資金を活用。もともと町には、江戸時代末に北斎が度々訪れていたため北斎の作品が散在していたが、それらの海外流出を心配した町が作品を集めて美術館を設立することに。「田んぼの中の美術館」であったが、北斎としては珍しい肉筆画などがあるということで話題になり来訪者が殺到する。来訪者が町内を回遊できるようにまち並みを整備することに。
- 来訪者が増加したことにより、地場農産物であった栗が、これまでの「出荷・卸し」の取引から「小売」が可能となる。品質の追求や販売管理の厳しさにさらされることになり経済・商業意識を高める転機に。
- 花のまちづくり(オープン・ガーデン等)は、竹下内閣時のふるさと創生1億円資金がきっかけ。資金の一部で数百人もの町民が西ヨーロッパ旅行に行くことに。旅行資金は20万円を町民に3年間融資する方式。町民らはイギリス、フランス、ベルギー、オランダ、ドイツの都市の綺麗な街並みと制度・文化を知る。英国コッツウォルズなどで行われているオープン・ガーデンを小布施町でも始めるきっかけとなる。
●町民意識に高井鴻山というシンボル
まちのキャッチフレーズに「北斎のまち」とあるが、まちの本当のシンボルは「高井鴻山」ではないかと。鴻山は幕末維新の激動期に生きた小布施の豪商で江戸や京都に遊学し幅広い教養を習得した文化人で、北斎を小布施に迎え入れて北斎のパトロンとなった。優れた「よそ者」を居住者として受け入れ、もてなし、活動を助け伸びあっていく町民の態度には鴻山の姿があると確信させられた。 ちなみにこの鴻山という人物は、豪商・文化人としての活動の一方で、倒幕の志士や思想家らとも交流し、自ら危険を冒して彼らを匿い維新を推し進めた。維新後は、新政府に対し上申書や建白書を連発するが、多くはなしのつぶてに終わってしまう。認められないという不満から妖怪の絵を書くようになってしまったらしい。政策提言を行う一新塾生の中には、こういう鴻山の生き方に共感できる人が多いのではないだろうか。
●町民は文化好き
鴻山の文化奨励と後援の精神が町民の意識にもあり、町民らは文化活動にとても熱心。わずか4キロ四方の町内には13もの美術館(大半が財団か民間で独立採算)があり、また毎週のように、国際音楽祭・野外コンサート等の演奏会や演劇祭等なにかしらの行事が開催される。実際、小布施町でお話をしたすべての人がなにかの文化活動の主催をされていた。現町長市村氏も大変な演劇好きらしい。
●長野県小布施町の今後の課題
- 教育・福祉を充実し「住みたい町おぶせ」を創る
- 「小布施ブランド」の確立(農産物など)
- 企業誘致。単に誘致するのではなく、企業の方にも「小布施ブランド」のメリットが活かされるようであってほしい。今後その具体的なアイデアがあれば提案してほしいとのこと。(しかし町にぴったり合う企業イメージはすぐに思い浮かばなかった。のんびりとした生活文化と自立したイメージなのだろうが。)
小布施視察 2006-08-03 一新塾小布施 一新塾,小布施,宮田久司,近藤,山下ともや小牧市議,,田中好 名古屋組
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